うめき声と金縛り
目次
いつもの家飲み
肝試しに墓地へ…
寝てるとうめき声
後日談
目次
いつもの家飲み
社会人になっても
中学からつるんでたヤツがいたw
そいつとは当時
毎週自分の家に来ては
一緒に部屋で飲んでました。
お互い共通するところが
あったこともあり
遊びに行くのもしょっちゅうでした。
パチンコ店員として
別々な店で働き
共にパチ・スロも打つ。
(当時は養分)
なのでパチンコの話をしながら
いつも毎週会って飲んでました。
とはいえ、毎週毎週会ってるから
そんなに話すこともなくなるのです。
なのでマンネリ解消の意味もあって
そいつが突然
肝試しに行かねぇか?
と、言ってきたのです。
そう言われて自分は
正直外に出るのは億劫でしたが
でも確かに二人だけで飲むのも
飽きてきたところだし
気分転換には丁度良いなと考え
その提案に賛同したのです。
でも問題は田舎なので
有名な心霊スポットなんて
近くにはありませんでした。
肝試しっつっても何処行くの?
取り敢えず出て適当に探そうぜ
要するに適当にそれっぽい
ところを通りかかったら
そこへ行ってみようということ。
でも周りは何もない田舎…
近くには何もないから
当然車で移動。
(肝試しよりヤバいのは車で移動)
(つまり飲酒運転)
(まぁ若気の至りですねw)
当時はまだ飲酒運転に対する
認識は甘く罰則も今ほど厳しくなかった。
それにもう時効だから
こうして晒け出してます。
話しを戻して
車で出発したのですが
やはりそうそうそんな場所を
見つけられない。
出発してからかなり時間が経ち
ただのドライブとなってた。
特に心霊スポットらしき場所は
見つけられず…
どっちが言ったか忘れたが
「もう戻ろうぜ」
と言い
「…そうだな」
となって帰ろうとした時でした。
帰り道を走らせてたら
いつも通り過ぎる墓地が
視界に入ったのでした。
お互いそれを認識すると
どっちも
「アッ」
と、声に出したw
いつも通り過ぎる道でしたが
そういえば墓地があったな…と。
肝試しという意識がなければ
気にもとめなかったでしょう。
肝試しに墓地へ…
お互いそれらしい場所を
見つけられず
このまま帰ってもつまらない
酒盛りになるのは分かってた。
なのでよくある田舎の墓地なのですが
入ってみることにしたのです。
近くに適当に車を停め
車から降りて墓地の入り口へと
足を運んだのでした。
時刻は覚えていませんが
もう真夜中を過ぎており
近くには民家もありましたが
何処の家も電気は消え
静まり返っていましたね。
墓地に入ってみると
ようやく肝試しっぽい雰囲気になり
酔っていたこともあり
二人共テンション爆上がりでした。
でもそれも最初だけで
次第にあまりにも何も起きず
つまらなくなっていきました。
特に幽霊らしきものも現れず
怪現象も何もなく
ただただ墓石を眺めてるだけ。
そんなに大きい墓地ではないので
すぐに一周してしましました。
仕方ないからもうこのまま
帰ろうかと提案しようと
思っていたところ…
声を掛けようと
ツレに目をやると…
自分の目を疑いましたね
期待した出来事は何も起こらず
業を煮やしたツレがそこで
とんでもない行動を起こしたのです。
ナント⁉
見知らぬ故人の墓石を蹴りながら
おーーい、幽霊出てこいや
そう言いながら叫んだのです
少しほろ酔いだった自分は
この行為を目にし
すっかり冷めてしまいました。
オイオイオイオイ
それは流石にマズイでしょとなり
止めに入ったのでした。
そしたらこっちを見て
笑いながら
大丈夫だよ
ほらこんなことしても何も起きないだろ
そう言い、今度は蹴るだけではなく
供えてあった花束も手に取り
周囲にばら撒いたのでした。
…もう自分は唖然としました。
確かにコイツは
タガが外れていましたが
ここまでするとは思いませんでした。
酔っ払ってたことも考慮しても
超えてはならない一線を
超えたとしか思えませんでした…
そうこうしてるうちにソイツは
他の墓石にも同じことをし
どうした、どうした⁉
こんなことされても現れねぇのか?
やっぱり幽霊なんていねぇよ
思っきり引いてる自分を尻目に
もう止まらない勢いでした。
その時に本当にコイツは
こういうヤツなんだと
改めて認識しましたね…
抑制が効かないというか
リミッターが外れてるんですよ。
パチンコにハマり何百万も
借金してましたし
前に働いてたパチ屋で
何か嫌味を言われたらしく
店長を殴りクビ。
街で飲みに行けば誰かと
ちょっと目があっただけで
何見てんだぁ~
喧嘩売ってんのかぁ~あぁ?
そんなヤツなんです。
でもそれも10代なら
まだわかるんですが
社会人になり20代になっても
思考や行動がそのままなんですよ。
警察沙汰になり
巻き込まれたこともありました。
だから墓場に行けば
こうなると予想するべきでした。
でももう手遅れ…
目の前の惨状に立ち尽くしてました。
そしてその行為はエスカレート
今度は自分の制止を振り切って
墓石をどかし始めたのです。
そしてとうとう墓石の下にある
お骨まで取り出し
手に持ちながら
オーこれが本物の骨か~
などと言いながら
その骨を自分にポイッと
投げてよこしてきた。
そしてそれを条件反射で
キャッチしてしまい
慌てた自分はその骨を
その辺に投げ捨ててしまいました。
大きい骨でした…
多分太ももの大腿骨。
怖くなった自分は
もういいだろ
帰るぞ
なんだぁ?こえーのか?
という挑発にも乗らず
帰る素振りを見せると…
渋々自分の後に続きました。
散らかした供え物や骨は
そのままにして…
寝てるとうめき声
それから家に帰って
ソイツが自分の車で
家に帰っていきました。
自分はというと
すっかり酔いが冷め
眠れそうにありませんでした。
あの骨の感触が離れず
とんでもないことになったと
行ったことを後悔。
でもまぁ今更もう遅い…
早く寝てしまおうと
また酒を飲み始めた。
酔えばまた眠気が起きるだろうと
思ったからです。
それが功を奏したのか
ベットに横になったら
すぐに眠りについたのでした。
そこからでした…
何時間寝ていたのか
分かりませんが
異音が聞こえ目覚めたのです!
最初は何の音だろうと
耳を傾けていたのですが
段々とハッキリ聞こえて
それが人のうめき声だと分かるのに
そう時間はかかりませんでした。
目覚めた時から
目は開けていませんでしたが
(早くもう一回寝ようと思い)
うめき声だと分かり
もう怖くて目を開けれません。
それも一人二人の声じゃない。
まさに老若男女という
様々な大勢の声が聞こえるのです。
直感的に感じましたよ。
これはあの墓場の人達の声なんだと…
「う~うぅ~」
「あーー」
とか苦しそうな声でした。
その声は段々と大きくなり
ハッキリと聞こえるようになり
マジでビビりましたよ。
怖くなり隣の部屋に寝てる
親や妹に助けを求めようとし
起き上がろうしたのですが
体が動かないのです。
金縛りというヤツです!
それが初めて経験する金縛りでした
もうパニックになりましたね。
体は恐怖で震え上がり
助けを呼ぼうにも
体も声も出ない
どうすることもできない状況です!
どうしよう、どうしようと
考えていると
この声を発してる人達は
恐らく自分たちの行為を
怒ってるのだと推測しました。
というかそれしか
考えられませんでした。
そう結論した自分は心の声で
すいませんでしたーー
と、心の叫びを張り上げたのです!
そして本当にとんでもないことを
したと後悔したのも事実でした。
なので心の声で謝罪。
何度目かの謝罪の言葉を発したか
分かりませんが
ある瞬間ピタッと
その声は止んだのです。
あたりはシーンとなったのです。
それでもしばらくは怖くて
目を開けられません。
気づくと金縛りも
解かれていました。
いつまでそうしていたか
定かではありませんが
このままでは埒が明かないと
勇気を振り絞り
目を開けて見たのです。
が、そこはいつもの自分の部屋の
風景でした。
恐る恐る起き上がり
周囲を見渡しましたが
特に変わった様子はなく
いつもの変わらぬ部屋でした。
あれっ
今のは夢だったのか⁉
でも確かに声は聞いた…
それを思い出し
また怖くなりすぐにまた横になり
考えないようにして眠りについた。
後日談
翌日目覚めると
いつもと変わらぬ日常でした。
その日は休みだったので
昨日のうめき声のことを
嫌でも頭によぎるのでした。
あれは何だったのか…
やはり起こった霊の仕業なのか…
それとも酔っていたので
夢と勘違いしたのか…
考えても答えは出ませんでした。
でも確かに夢にしては
リアルすぎるうめき声でした。
何かの苦痛から発してるような
苦しそうなうめき声...
何もせずボーッとして
ハッとなりました。
そうだ
アイツはどうなんだ⁉
昨日一緒に行ったアイツも
不可解な体験したのだろうか?
そう思いすぐに電話
でも返ってきた答えは…
ハァ⁉声⁉うめき声⁉なにそれw?
何にもなかったけど?
夢でも見たんじゃないか?
とのことでした。
どうやらアイツの方は
特に何も起こらなかったようです。
それを聞いて
アレはやはり夢だったのかと
今では半分そう思っています。
でもことがことだけに
全部夢だったとは否定できないのも
確かなのです。
それともアイツにも何か起きていて
何もなかったと嘘をついてるのか⁉
今でもハッキリ答えはでません。
因みにそのまた翌日に
職場のパチ屋の休憩中に
そのことを同僚に話すと…
「オメー等、ゼッテーヤベェーよw」
「絶対、呪われてるよw」
こんな感じで盛り上がったのは
言うまでもない。